よく見られる姿
何かを見るときに、その方向へと目を動かすことを眼球運動といいます。眼球運動には、4つのはたらきがあり、空間の把握や、運動、学習を行うための重要な発達の土台となります。
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静止した物を視野の中心で見続ける(前庭動眼反射、視覚運動性眼振) …頭の動きや姿勢の変化にかかわらず、見たい物を目で捉え続ける運動 。いわゆる、カメラの手振れ補正のようなはたらきを指します。
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動く物を視野の中心で見続ける(滑動性 〈追従〉眼球運動)…ゆっくり動く物を目で追いかけるなど、視線を滑らかに移す運動。この運動がうまくできないと、サッカーなどでボールや人の動きを追ったり、本の文字を目で追ったりすることが難しくなる場合があります。
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視野の周辺にある物を中心で捉え直す(衝動性眼球運動)…ある点から別の点へと視線を素早く移す運動。これが苦手だと、間違い探しに時間がかかったり、探し物をすることが難しくなったりすることがあります。
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奥行きを捉える(輻輳・開散運動)…見ている物との遠近距離に応じて視野のピントを合わせる運動。いわゆる寄り目の運動を輻輳、反対に両目を外側に向ける運動を開散といいます。これらの運動がうまくできないと、近くの物に焦点が合わず二重に見えたり、にじんで見えたりすることがあります。
支援の方向性
眼球運動のコントロールを促す際には、子どもの力に合わせて難易度を段階づけていくことが大切です。眼球運動のはたらきを、以下のように発達の順序に沿って身につけていくことが原則になります。
①動きながら、静止した物を見続ける活動…ジャンプして空中で物のキャッチ・タッチ、ゴム跳びなど
②静止したまま、動く物を見続ける活動…吹上パイプ
③動きながら、動く物を見続ける活動…転がしドッジ、ボールキャッチ、風船バレーなど
「子ども理解からはじめる感覚統合遊び」
加藤寿宏/監修 高畑脩平・萩原広道・田中佳子・大久保めぐみ/編著
(2019、クリエイツかもがわ)